~『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』を読んでの感想~

05 Jan 2020

2020年になりました。
みなさま、あけましておめでとうございます。
reiです。
年末年始はいかがお過ごしですか?ゆっくりと英気を養われた方、仕事だった方と様々だったかと思います。
本年もよろしくお願い致します。

そして2020年最初は本のご紹介から始めます。

■備長炭って何の木からできているのか?

早速なのですが、「備長炭って何の木からできているのか?」

この問いに答えられる方はいますでしょうか?(本書にもでてきます)
なんとなくですが、この問いにさっと答えられる人はそれほど多くはないだろうと思います。「備長炭で炊けば美味しいご飯が出来上がる」ということはなんとなくわかっていても、「そもそも備長炭って?」、「なぜ備長炭がいいのか?」、「備長炭以外にはどんな炭があるの?」など、これらの疑問にきちんと答えられる人って少ないのではないでしょうか?(正解はウバメ樫)

「ブランディング」も同様で、「聞いたことあるけどよく分からない」、「自社に取り入れようとするとどうすればいいか分からない」、「クライアントにどう説明すれば良いかわからない」・・・そんな人は多いかと思います。今回紹介する本は、その問いに対する一つの答えを示してくれています。それもとても丁寧に。

僕自身、ここまで細かく分類するものは初めてみました。それもそのはず。著者はNYにてデザイン事務所を営むHI(NY)の小山田育さんらによって執筆されています。
NYは様々な文化・宗教観の人々が集まる人種のるつぼ。そんな中ではブランディングをすることがどれだけ難しく、またどれだけ大切なことか、その内容が事例とともに具体的、実践的に書かれています。

■ブランディングとは、「デザイン経営戦略」である。

本書の中で、ブランディングについて書かれていますが、その中で個人的に最も納得感のあったものが、


・ブランディングとは、「北極星」のようなものである。
・「ブランディング」=「デザイン経営戦略」である。

という説明でした。

近年状況が変わりつつありますが、まだまだ日本の中では、「まずは良いプロダクトをつくること」、「デザインは、見た目を美しくする作業」、「広告宣伝は二の次」と捉えられています。
しかし、諸外国では、デザインは「問題解決のツール」という考え方が一般的であり、クライアントのほうでもデザイン事務所がブランディングやデザインを通して問題解決をするということは至って普通のことだと認識されています。

デザインが単なる作業でなく、ブランディングを行う上での、重要なツールであり、一貫性を保つためには経営戦略の上流から関わることの重要性をわかりやすく書かれています。

■なぜ今ブランディングなのか?

そして、近年なぜ「ブランディング」という言葉が注目されているのか本書では、

これまでコンサルタントが行ってきたような外部環境である市場や競合をリサーチした上で、自社の強みを生かし独自のポジショニングを築くことで競争優位の源泉を生み出していく、というのがこれまでの一般的な経営戦略でしたが、様々な商品/サービスが溢れる昨今、従来のやり方が機能しにくくなってきました。
一方で、特にBtoC分野においては、企業や商品/サービスの持つ強みや個性、社会的な存在意義などといった、その会社の「らしさ」であるCore Valuesに焦点を当て、その価値を押し出したビジネスがどんどん増えています。他社と比較して相対的な価値をつけるのではなく、その会社らしい唯一無二の絶対的な価値を持ったビジネスをもったビジネスが増えてきています。

著書の中では、「ブランドとは、商品やサービスを競合他社から明確に区分し識別させるための名称、言葉、デザイン、シンボル、その他特徴である。」と定義しています。

ブランドの本質は品質でも希少性でもなく、強みや個性である「らしさ」。ただ、強みやらしさは抽象的で伝えるのが非常に難しいため、デザインを効果的に用いて、消費者が「このブランドはこういうブランドなんだな」と世界観を直感的に感じることができるようにするもの、この解説がとても分かり易かったです。

このタイミングでこの本に出会えて良かった。これまで分散的に収集していた知識が一つにまとまった感覚を受けました。また、ブランディングと聞いて、どこまで深掘りすればブランディングが一旦完成したのか?そのマイルストーンを示してくれたことがとても勉強になりました。多くの人にぜひ読んでいただきたいオススメの一冊です。ご興味ある方はぜひ。

 

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